| セミナー「生前贈与と相続時精算課税」(17年9月3日開催−開催時における資料) |
| はじめに |
お盆の時期にあるいはお正月に、遺言書を考えよう、あるいは相続のことを考え、そろそろ財産の整理をしなくてはと思われる方もみえると思います。まだまだ相続のことを話題にするのは少しばかり縁起が悪い、と思われる方も多いのはないでしょうか。しかし死は確実に平等にやってくることも事実です。その時期は予想もつかないために死のことを考えることが、嫌われ不安になるのも万人に共通したところです。
相続は、人の死亡により財産を次の世代に承継することです。予期できぬことをただ不安で過ごすのではなく自分の人生の集大成である相続に向けて、家族との関わりから、財産の行方まで後世に「思いを託す」ことが重要ではないのでしょうか。身近に聞く相続争いからも、「我が家ではできれば円満に親子兄弟仲良くしていってほしい。」と願うのは当然です。
健康なうちに財産の整理を行い、残される人たちが、幸せになれることを願い、考えていきたいと思います。
相続により財産を分けると言うことは価値あるものを分けると言うことです。民法は相続人は平等という考え方をしています。実際もらう側にたてばいろいろな理由でお金が必要という場面は増えてきますし、それぞれ価値観や人生観が違う人に分けるわけですから、不公平感は生ずると思います。それを調整できるのは財産を自由に処分できる遺言書であり、生前贈与です。円満な相続に向けての糸口を探りましょう。当社はそのお手伝いをいたします。
本日は、「生前贈与と相続時精算課税制度」というテーマで、お話させていただきます。
平成15年度の相続税法改正により「相続時精算課税制度」という新しい制度が創設されました。この制度が作られた背景は、高齢化社会の時代になり、平均寿命が延びたことにより、親から子供への財産の移転の時期がどんどん遅くなり、子供が親からまとまった財産を貰う頃には、経済的にはさほど必要がない年代になってしまっています。相続まで待たずに財産の前渡しをして、経済基盤の活性化につなげようという考えです。2500万円という控除枠も、将来相続税の心配がない方々に利用していただきたいという所からきていると聞いています。当初、この「相続時精算課税」について知った時、デメリットのほうが目について、お薦めしなかったのも事実です。その後の税制改正などもあり、使い勝手がよい部分もあるなと改めて思ったしだいです。世代間の財産移転では解決策のひとつになりえますが、しかし慎重に、あくまでも「課税の繰延べ」ということです。
全国の年間の死亡者は約100万人です、そのうち相続税の申告者は5万
人(5%)で、さらに税務調査される件数は1.2万人(24%)です。
三河での申告者数は全国平均より1%多いようです。
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| T.相続について |
1.有限会社相続サポートを設立した意義
自分の事例ではどのようにしたらよいのか知りたい。この具体的事柄に相続全般から財産・税務まで相談できる環境を作り、安心円満をサポートしたいと思い設立しました。
2.さしあげたいという素直な気持ち、これを大切にしたいと思います。しかしそれに税金がかかってくるとなると「気持」だけでは済みません。相続税が無ければ贈与税もありません。生前贈与も相続に相対する言葉です。相続のことを知っておけば、贈与を理解し対策をたてるにしてもより有効だと思います。 相続、相続税、贈与税の順に話します。
〔調べる・分ける・納める・節税する〕 が相続および相続税の基本です。
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| 3.相続の一般的な説明(民法)をします。(後で相続税について話します。) |
相続とは、人の死亡を原因としてその人に属した財産上の権利義務を受け継ぐことです。死亡した人を被相続人、財産を継承する人を相続人と言いいます。財産の承継には、相続のほか、遺贈あるいは生前贈与による方法もあります。
4.まず相続人を確定させます。相続できるのは法定相続人のみです。
配偶者はつねに相続人になります。これは夫婦は一心同体で、財産形成に協力し合ってきたからです。法定相続人ですから、内縁の妻は相続できません。
妻以外の相続人の順位について
相続人の順位 第1順位 子 (代襲相続人を含む)
第2順位 直系尊属(父・母等)
第3順位 兄弟・姉妹 (代襲相続人を含む)
・養子は実子と同等の地位を有します。 養子になるのは何人でも可能です。
・子が死亡している場合には、孫が代襲相続人になります。孫も死亡しているときは、
曾孫が なります。兄弟姉妹が死亡している場合は、甥や姪だけが代襲相続人となれ
ます。
5.相続人でなくなる「相続放棄」
民法は相続人に対して、相続を承認するか、それとも放棄するかの選択権を与えています。相続の開始のあったことを知った時から3ヵ月以内(考慮期間)に相続人単独で家庭裁判所ヘ手続きができます。相続放棄しますと、最初から相続人でなかったものとされます。 相続財産が債務超過かどうか不明のときに、限定承認という相続のしかたがあります。相続はするけれど、積極財産の範囲内で債務を弁済するというものです。相続人全員で3ヵ月以内に手続きします。
6.次に財産を調べます。
基本的に金銭的な価値あるものはすべて相続財産になります。「資格」など当人にとっては価値あるものも、金額評価できないものは相続財産ではありません。下記のような財産にかかります。
□相続税のかかる財産
・相続開始時に存在する財産
・実質的に相続・遺贈によって取得したとみなされる財産
・生前に贈与を受けた財産
(1) 相続税のかかる財産(例)
・土地 宅地、田、畑 (借地権や地上権などを含む)
・家屋 家屋、構築物
・事業資産 機械、農機具、その他の減価償却資産
商品、原材料、農産物
売掛金などの債権資産
・有価証券 株式および出資・公社債・投資信託・貸付信託
特定同族会社の株式および出資
・現金、預貯金など
・家庭用財産
・その他の財産(評価できるもの) 庭園・骨董美術品など
(2) みなし相続財産
各種の保険金や死亡退職金などは相続財産とみなされて、その受取人に相続税がか
かります。
・死亡保険金 ・死亡退職金
・生命保険契約に関する権利 ・定期金に関する権利
(3) 非課税財産
財産の性質や、公益的見地からみて課税されない財産があります
・墓地、墓石、祭具など
・生命保険金 ・死亡退職金 500万円×法定相続人数分はかかりません
・公益事業用財産 宗教、慈善、学術など公益に供するもの
・寄付金 特定公益法人などに寄付したもの
*(贈与税のかかる財産も概ね同じです。)
(4) 「財産一覧」を作成しましょう
現金を含め有価証券や預金のすべてを把握するのは相続人にとって大変な労力を要するものです。相続財産は、その所有者が一番よく知っているわけですから、御本人が「財産一覧」を作成しておくことが最良の方策です。
@土地・家屋等は財産所在地の市役所などで固定資産評価額証明をとります
A預金有価証券等は取引先と思われる金融機関・証券会社に残高証明(保護預かりも
含め)の発行を依頼します。郵便局では貯金局に証明を依頼します。
B保険金・年金などは受取人が請求の手続きをします。
Cそして、被相続人が保管していた金庫等重要書類を調べます。貸金庫も確認します。
相続人単独でこれらの調査を行うと後日トラブルが想定される場合は、共同相続人あるいは、責任のおける第3者と共に進めます。
刀@土地が把握漏れになることもあるの?
刀@棚ぼたの財産 ゴミの中から郵便貯金証書が
∬ 税務署が預金をくれた 税務調査で発見
♪ 税務署から申告書の用紙を送ってきます。概ね相続税の申告が必要な人です。
でも用紙が送られてこなくても申告が必要な場合はもちろんあります。
7.債務も財産の内
@ 金融債務は残高証明で調べられます。
A 個人債務は契約書・内容の確認をします。
B 預かり敷金や固定資産税などの未払金 決算書・支払請求書を確認します。
C 葬儀費用 医療費など調べておきます。
δ 香典は喪主に対する贈与です。贈与税は・・・。
被相続人が債務の連帯保証人になっていた場合は、すべての権利義務を相続するかしないかの慎重な取り組みが必要です。
不動産に抵当権が設定されていた場合も同様です
抵当権が付いているかどうかは相続税の評価には影響ありません。しかし
抵当権のついた不動産を相続しますと、場合によっては、債務の負担のた
めにその土地建物を競売に付されることもありますので慎重に対処します。
♪ 遺言書を持つ人が有利
♪ 評価が重要 遺留分・裁判所の評価は不動産鑑定評価が原則です。しかし
費用膨大であり相続税評価額を援用する場合もあるそうです。
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| 8.民法で規定する分け方 |
遺産は相続人の共有物です。土地、家屋、現金などから債務まで、共有となった財産を共同相続人の間で分配することを遺産の分割といいます。相続人が受け取る財産の割合を相続分といいます。
遺産分割には、
・指定分割、
・協議分割、
・調停分割・審判分割、 の3つがあります
遺産分割に際しては遺言による指定が最優先されます。遺言がなければ共同相続人間で分割協議を行ないます。その際の基本となるのが法定相続分ですが、相続人が合意すれば任意の割合で分割できます。遺言による指定相続が遺留分を侵害しておりそれに不満があれば、減殺請求が出せます。逆に遺留分の放棄(開始前も可能)や、相続の放棄(開始前は不可)も出来ます。
協議が調わなければ、調停の申し立てを行い第3者の判断を仰ぎます。さらには審判に附されたり訴訟へ発展する場合もあります。その場合の分割は法定相続分が基調となります。
(1) 法定相続分
相続人が受け取る財産の割合を相続分といいます。各相続人の権利義務は「平等」が民法の考え方です。相続分は民法で定めている割合が適用されます。これを法定相続分といいます。
| 相続人 |
法 定 相 続 分 |
| 配偶者のみ |
全 部 |
| 第1順位 |
配偶者 2分の1 子 2分の1 (人数により2分の1を均分) |
| 第2順位 |
配偶者 3分の2 父・母 3分の1 (人数により3分の1を均分) |
| 第3順位 |
配偶者 4分の3 兄弟姉妹 4分の1 (人数により4分の1を均分) |
(2) 指定相続分
被相続人が遺言により思いどおりに決めた相続分です。自分の財産の処分は自分で決められます。遺言で、法定相続分と異なる相続分や財産の分けかたを定めることは自由です。この遺言で指定された相続分を指定相続分といい、これは法定相続分に優先します。
しかし財産処分の自由とはいっても、残された家族にとって、生活権や期待権があることも 事実ですから、それを保証するために遺留分といって相続人に保障される割合も定められて います。遺留分を侵害された相続人には、遺留分減殺請求権といって取り戻しを請求する権 利があります。
なお、遺留分権利者となることができる相続人は、配偶者、子ら、父母らに限られており、兄弟姉妹には遺留分がありません。その割合は法定相続分の2分の1です。
遺留分は相続人に保障される割合ですから、それが侵害されても、相続人が遺言どおりの配分を了承することは何ら問題はありません。
遺留分減殺請求は1年以内に主張しておかないと時効により権利を失います。
刀@遺言によって財産を与えることを遺贈といいます。受け取る側からすれば受遺者と言いますが受遺者には相続人であるときも、相続人ではないときもあります。
刀@遺贈のしかたには2つあり、財産の2分の1をというような包括遺贈と、特定の財産を定める特定遺贈とがあります。
(3) 分割協議による分割
遺言のないときや遺言に分割方法が指定されていないときは、共同相続人全員の協議によって分割します。これを協議分割といいますが、これには共同相続人全員の参加と同意が必要です。相続人全員が合意をすればどのように分けることも有効です。
(4) 調停分割 審判分割
分割協議において相続人間の合意が得られなかったり、全員が参加できなかったときに申し立てをします。1人でも数人でも家庭裁判所に調停の申し立てを行うことができます。調停が成立すると調停調書が作成され、その記載にしたがって分割することを調停分割といいます。調停が成立しないとき、裁判所の判断によって審判に附されそれに従って分割することを審判分割といいます。
財産の分割は現物分割が基本です。換価分割・代償分割という方法もあります。
(5) 特別受益
共同相続人中にマイホーム資金など生前に贈与を受けた人がいた場合に、持ち戻し計算をします。相続人の遺留分を侵害していた場合は相当分を返さなくてはならないこともあります。
(6) 特別寄与者
共同相続人中に、被相続人の療養看護をしたり被相続人の財産形成に功のあった人を特別寄与者といいその寄与分を認めるというものです。
♪ 「相続分のないことの証明」と「家督相続」
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| 遺言 |
9.遺言について
遺言は正しい方式でなければ無効です。満15歳以上ならばだれでも遺言できます。
民法の定めている遺言の方式には、主なものにつぎの種類があります。
自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
(1)遺言書で出来ること
@相続に関すること ・法定相続分とは異なる割合の指定
・相続人の排除とその取り消し
・遺産の分割方法の指定
A財産処分に関すること ・遺贈
B身分に関すること ・子の認知 ・後見人の指定
C遺言執行者の指定
上記以外の家訓や遺族への希望、遺言をまとめる至った経過などを書くことは
法律的には意味ありませんが、何ら差し支えありません。
◇公正証書遺言がもっとも安全で確実と思います。公証人の費用の目安は次のとおり。
1億円以下のもの 43.000円
2億円の財産 69、000円 |
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| 相続税について |
・ 相続税法と民法の相違点を少し示しておきます。
* 相続人の数 養子の制限 民法は制限なし
*生前贈与加算 3年前加算 民法は非課税を除く特別受益の生前贈与加算
・ 遺留分
10.相続税の基本的な仕組み
(1) 課税価格を計算します 図参照
@被相続人(死亡した者)の死亡時に所有する資産(預金や土地など)及び死亡保険金等のみなし取得財産の合計額から、相続税の非課税財産(墓など)及び被相続人の債務(借入な ど)及び葬式費用を控除して純資産価額を計算します(遺産額)。
Aさらに、相続等により財産を取得した人が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産の額を加算して、「課税価格の合計額」を求めます。この3年以内贈与加算というのはいわゆる一般の贈与制度を適用している場合です。
相続時精算課税制度の適用を受けた生前贈与金額はすべて合算されます。
この「課税価格の合計額」が法定相続分の計算の基礎になります(正味の遺産額)。
(2) 次に課税遺産総額を計算します
課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除して「課税遺産総額」を求めます。
遺産に係る基礎控除額は、次の算式で計算されます。
基礎控除額=5、000万円十(1000万円×法定相続人の数)
*「法定相続人」には、相続の放棄があった場合においても税法上は含めます。
*「法定相続人の数」では、相続人の中に養子がいる場合に税法上の制限があります。
・ 被相続人に実子がある場合 1人のみ
・ 被相続人に実子がいない場合 2人までOK
(3) 相続税の総額を計算します
課税遺産総額を「法定相続人の数」に応じ、民法で定める法定相続分とおりに取得したものとして各相続人ごとの取得金額を計算します。
各相続人ごとの取得金額に税率を乗じて算出税額を求め、合計したものが被相続人に係る「相続税の総額」となります。
(4) 各人が実際に納付する相続税額は、「課税価格の合計額」にしめる取得財産の割合に応じて計算されます。
(5) 相続等により財産を取得した人が配偶者及び一親等の血族ではない場合は、20%相当額の税額が加算されます。孫を養子にした場合などです。(代襲相続人をのぞく)
(6) 各税額控除の規定を活用します。
・ 配偶者の相続税額の軽減
・ 相次相続控除
・ 贈与税額控除
・ 未成年者、障害者控除 などがあります。
(7) 各相続人等の負担する税額が算出されました。申告期限までに納付します。
(8) 相続時精算課税制度の適用を受けた生前贈与金額に対する累積贈与税相当額が相続税額を上回る場合には、その超過額は還付されます。
11.評価方法の一覧
先に「相続税のかかる財産」を掲げましたが、それぞれに評価の仕方が「財産評価基本通達」により決められています。
(1) 土地等の評価
@一般的な土地の評価については、
・路線価方式 道路に面する宅地の標準価額1u当たりの価格に面積を乗じた価格
・倍率方式 宅地の固定資産税評価額に国税局長が定めた倍率を乗じた価格
A借地権の評価 宅地の自用地の価額に借地権割合を乗じた価格
B貸宅地 自用地の評価額−(自用地の評価額×借地権割合)
C貸家建付地 自用地の評価額−(自用地の評価額×借地権割合×借家権割合
×賃貸割合)
D農地 ・純農地と中間農地=固定資産税評価額の倍率方式
・市街地農地=比準方式、(宅地であるとした価額から造成費相当を控除)
居住用の小規模宅地の特例、(配偶者が取得した場合や同居親族が取得し引き続き居住している場合などは80%相当額を減額する
特定居住用宅地特例)などの各種の特例があります。
(2) 土地等以外の評価
@家屋 固定資産税評価額
A貸家 家屋の固定資産税評価額−借家権の価額
B一般動産 課税時期における小売価額から減価償却額相当分を差し引いた価額
C書画骨董品 売買実例価額、精通者意見価額などを参考にして評価されます。
D上場株式 上場株式は、相続開始日の終値と相続が開始された月以前3ヶ月間
の毎日の終値の各月平均額とのうちいずれか低い方。
E取引相場のない株式の評価 財産評価基本通達に従って行います。
・類似業種比準方式 ・純資産価額方式 ・配当還元方式
Fその他金融資産等
・利付債 ・割引債 ・貸付信託 ・投資信託 ・預貯金
*相続時点に解約するとした場合の現在価額を各算式により計算します。
(3) 相続税の基となる金額は相続時の「時価」による「価額」です。
土地などの財産は金額換算するために「評価」をしなくてはなりません。相続財産の6割が土地等であり、現金以外のほとんどが評価換算する必要があります。相続税の申告においては財産評価が重要なポイントとなります。
相続税額は、財産の価額がいくらであるかによって決まるのですから、財産評価は相続税の負担に直接影響するきわめて重要なものです。
(4) 斟酌割合(しんしゃくわりあい)
「財産評価基本通達」の文言に「その価額から100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除」するというのがあります。通常、斟酌割合と呼んでいますが相当と認める金額とはどういものでしょう。しかも40%とはすごいものです。1億円ならば4千万円が評価で減額されるということです。
評価は複雑です。専門家に任せましょう。
12.相続税の計算をします
相続時の財産の価額が把握されましたら、次に計算してみます。
*レジメ最終ページに計算例があります。参照してください。
@ 各相続人の課税価格の合計額=
相続財産+みなし相続財産−非課税財産−債務葬式費用+3年以内の贈与財産
A 課税される遺産総額=
@−基礎控除(5000万円+(10000万円×法定相続人の数))
B 各人の相続税の額=
Aを法定相続分に分ける 各人の法定相続分×税率=各人の税額
C 相続税の総額= Bを合計する
D 各相続人の負担する税額=
C×(各相続人の課税価格÷各相続人の課税価格の合計額)
E税額控除等
・ 配偶者と1親等(代襲相続人を含む)以外の人の2割加算
・ 3年以内の贈与財産に対する贈与税額控除
・ 相続時精算課税制度により納付した贈与税額控除
・ 配偶者の税額軽減 未成年者・障害者の税額控除 相次相続控除
相続放棄した人も税額計算には貢献。(基礎控除 非課税枠 税額計算)
刀@配偶者の相続税は軽減されます
配偶者の相続した財産が、配偶者の法定相続分相当額までのとき、または法定相続分以上であっても1億6,000万円までなら、相続税はないものとされます。
刀@相続人が未成年者や障害者であるときの控除に未成年者控除・障害者控除があります。定められた年数1年につき6万円(12万円)が差し引かれます。
刀@相次相続控除
10年以内に続けて相続が起きたときには、一定割合の額が控除されます。
刀@2割加算算の対象となる者に被相続人の養子となった当該被相続人の孫(代襲相続人を除きます)が追加されました。
相続税の速算表 <平成15年1月1日以降適用>
| 法定相続分に応ずる取得金額 |
税率(%) |
控除額(万円) |
| 1,000万円以下 |
10 |
- |
| 1,000万円超3,000万円以下 |
15 |
50 |
| 3,000万円超5,000万円以下 |
20 |
200 |
| 5,000万円超1億円以下 |
30 |
700 |
| 1億円超3億円以下 |
40 |
1700 |
| 3億円超 |
50 |
4700 |
13.納税資金対策
相続税は、申告期限までに金銭で納めるのが原則です。相続税が一度に納められないときは、延納か、延納によっても金銭で納めることが困難なときは物納も可能です。
遺産分割の際に納税資金も念頭において各人の分割財産を決めていくことが相続人にとって資金調達を楽にします。分割財産に現金預金を手当てできないときなどは税額に見合う生命保険の活用も有効です。物納が可能ならば、事前にその条件を整えておきます。
物納財産の価額は、相続税が課税された際の評価額です。物納にできる財産には順序があります。 @国債、地方債、 A不動産、船舶、 B社債、株式、証券投資信託や貸付信託の受益証券、 C動産、という順序で納めるようになっています。申告書の提出期限(10ヵ月以内)までに準備を整えて申請します。
刀@農地については納税猶予の制度があります。
14.財産承継の主な手続き
分割協議が終わりましたら、 相続財産の承継手続きは早めに行いましょう。
@保険金の請求
・生命保険金 ・損害保険金
A年金の請求
B不動産の名義書換
・土地、家屋、山林 (法務局) 〈期限はありませんが〉
Cその他の名義書換
・預貯金 (取り扱い金融機関)
・株式など有価証券 (発行会社または名義書換代理機関)
刀@相続税の申告期限後3年以内に相続財産を売却すると特典も
申告期限後3年以内に、その相続税の課税価格の計算の基礎に算入された資産を譲渡した場合には、その資産に対応する相続税額を譲渡所得の計算上「取得費」に加算できます。
刀@長期保有の不動産から売却する
14.節税する
相続対策と相続税対策を区別しましょう。残された家族が財産分けでもめないように配慮しておくことは被相続人の責務です。その上にたって、相続税対策を講じます。しかし節税対策に偏ってはいけません。過去、養子の数規制、3年以内取得土地の取得価額評価、税率改正、相続時精算課税の創設など税法はしばしば劇的に改正されます。現在の税制に合わせ、節税対策を取ったしても将来の税制改正のリスクには対応できません。基礎控除の見直し・税率アップとかの観測も話題に上ってきています。
家庭内状況も年を経るごとに変化します、家族構成が変わり心境の変化も起こるでしょう。節税対策に的を絞らず、相続全般に目を向けて対応していきましょう。
現在の状況で出来うる節税対策を考えます。
相続税の計算式で明らかなように基本は 課税価格×税率=税額です。
すなわち課税価額を少なくし、税率を下げれば税額は少なくなります。課税価額を少なくするためには、 @財産そのものを減らす。 A評価額を下げる。 B負債等を増やすことです。相続税は累進税率を採用していますので、下位の税率範囲に下げるようにします。
(1) 財産を少なくする
絶対量を減らします。有効なのはやはり生前贈与です。
刀@寄付をするなら申告期限内に
相続財産を、相続税の申告期限までに国等や特定の公益法人に寄付した場合は、非課税とされます。
刀@非課税財産を購入(墓地・仏壇)
刀@生命保険への組み替え(現金から評価価値へ)
(2) 評価を下げる
相続財産にしめる土地の割合は60%です。しかも土地等には何らかの減額要素がありま す。財産の受領者ごとに評価をするので分割方法を工夫することによっても評価額が変わります。又、貸家を建てる等の形状使途が変わることによっても評価額が変わります。現金以外の財産はほとんど評価が必要です。評価は相続税対策の1つのポイントです。
刀@不動産の財産評価額を活用した相続対策
金融資産(預貯金・有価証券など)を土地に切り替えるケース
(3) 負債を増やす。
これも評価差額を活用することでもありますが、たとえば借入金で建物を建てる課税価額を全体として下げることができます。しかし先行き不透明な時代です。計算通りにいかないリスクもあります。
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| 贈与税について |
贈与は自分の財産を無償で人に与えることです。「財産を上げます」と「もらいます」という双方の意思表示があって、はじめて民法上の贈与が成立します。
贈与を受けた人に贈与税がかかります。贈与税のかかる財産は、相続税のかかる財産とほぼ同じです。生前贈与により、相続財産を減少させ相続税負担の免れてしまったら他の人とのバランスがとれません。そのため、相続税の補完税として税率も相続税率よりずっと高く課税されます。
また一般的には贈与とは考えられなくても、税法上、贈与とみなされる場合があります。これは、つぎのようなものです。
@借金の棒引きや肩かわりをしてもらった。
A掛金の負担者でない人が受け取った生命保険金や郵便年金など。
B時価より著しく低額な財産の譲り受け、などです。
1.一般の財産の贈与の場合(暦年課税制度といいます)
一般の贈与のキーワードは、1年単位(1月1日から12月31日)、受贈者ベース、110万円です。1年間に合計110万円までもらっても税金がかかりません。これは非課税です。それを超えると累進税率により高額な贈与税を払います。
次の計算式により算出します
贈与税額=(その人一人が1年に貰った財産の合計額−110万円)×税率
@生前贈与の一般原則
・贈与には双方の当事者間の認識が必要です。
民法は、贈与を「贈与者が受贈者に無償で財産を与える行為で、「あげます、もらい
ます、という契約で成立する。」としています。相続税法も同じ考え方です。
あげたことになっているというのは通用しません。
A通常は名義の変更により、所有権の移転が証明されます。
現金の贈与に名義の変更はありません。その他の財産は通常財産引き渡しにより
預金の名義や不動産の登記など名義が変更されます。これらの日に贈与があった
ものとされます。
B贈与契約書を作成
贈与は、口頭によっても書面でも可能ですが、お互いの意思を後々も確認するために
贈与契約書を作成しておくことが重要です。後日の証拠になります。
2.生前贈与が否認されないようにするにはどのようにすればよいでしょう。
@ 暦年課税の贈与を選択している場合、証拠と実績を残しておく。
A 名義借りとならないように相手に財産を移転する。
B 贈与税の申告をする。
C 受贈財産からの収入はもらった人のもの。
*証拠はやはり書類として後日でも証拠立てできるものでなければいけません。
たとえば現金預金を贈与する場合の注意事項として
@もらう人は自己名義の口座は自分で作る。届出印鑑は必ず自分のもので。
A贈与する際には贈与契約書を作成する。
B贈与する人の銀行口座から、もらう人の口座へ現金預金を振り込む。。
C もらった人又はその親権者が通帳、印鑑を保管する。
D 受贈者の通帳にて、贈与者が引き出したり配当等を入れない。
E贈与金額が110万円を超えるときは、必ず申告をして贈与税を納付する。
刀@税務署へ申告書を提出しただけでは贈与の立証にはなりません。
事実を積み重ねましょう。
刀@株式の贈与を受ければ、その後に受け取る株式の配当収入は当然に贈与を受けた人のものです。まま贈与した人が従来どおり配当を自己の口座にて受け取ってしまっている例が時々見受けられます。
刀@税務署は贈与の事実をどのように把握するのでしょう。
やはり名義が変更された「事実」を捉え、調査されます。
@相続税調査の時、預金名義の確認
A保険金等が支払われた際の支払調書
B各種の税務調査時
C税務署からの「各種おたずね」への回答から
Dたれ込み などです。
刀@名義変更と贈与税
実際金銭的な負担がないのに住宅の持ち分に妻名義をに半分つけた、生命保険金の受取人を妻にしておいたなど、本来贈与のつもりがなくても贈与税がかけられる場合があります。財産の名義変更や名義使用は慎重に行うことが望まれます。
刀@贈与とみなされる場合もあります。
@生命保険・損害保険金
A定期金に関する権利(個人年金・郵便年金など)
B低額譲り受け(時価との差額)
C親族間の借入
刀@贈与するつもりがないのに、ついうっかりしてしまった場合、つぎのような条件で、原則として申告期限までに財産の本来の所有者名義になおした場合に限り、贈与はなかったものとして取り扱われます。
@財産の名義人となっているその事実を全く知らず、かつA名義人がその財産を
使ったり、そこから収益を得たりしていない。
財産の名義変更や名義使用は、よほど慎重に行うことが望まれます
連年の贈与は否認される?
1つの契約に基づいて毎年継続的な贈与を続けていくと連年贈与とみなされ、一括して贈与税をかけられることがあります。そうならないように、@毎年贈与契約書を作る Aその年々に応じた金額・財産を贈与します。
刀@親子間の借入金
親からの借入金は贈与とみなされるからできない、と聞くことがあります。手続きをしてきちんと返済されている借入金ならば贈与税はかかりません。
マイホーム購入資金や開業資金を親から借り入れることはよくあります。親子の間柄ということで、返済期限、返済方法、利息などの取り決めがなく「あるとき払いの催促なし」の借入金となった場合、実質は贈与とみなされて贈与税がかけられる場合があります。仮に取り決めや証書があっても、返済事実が無ければやはり実質は「贈与」とみなされます。
@期限、利率などが世間並みであること。
A返済計画が子の収入に見合っている。
B返済がきちんと行われている
などの条件を備えていることが必要です。
刀@生活費や教育費の贈与には課税されません
通常必要な教育費、生活費は非課税です。その都度わたします。
ためておいて、自動車を買ってしまうと・・・。
刀@贈与は、「あげます」「もらいます」という契約行為です。
毎年110万円ずつ10年間にわたって子供さんや奥さん名義で預金した場合で、本人はそれを贈与だと思っていても、現実に贈与があったという事実がなければ否認される可能性が大きいです。事実を証明する証拠を残しましょう
♪ 年少者に対する贈与
前項で「あげます」「もらいます」という契約行為といいましたが、幼少の孫が「もらいます」という認識ができるのかという疑問がわきます。では、孫に贈与はできないかということになりますが、民法818に「親権者」、さらに民法824に「財産管理権と代理権」があります。親権者が代理権を行使して贈与契約を結び、管理します。当然通帳も印鑑も孫独自のものが必要ですし、別途管理することは言うまでもありません。
刀@3年前贈与加算は相続人等が対象
相続遺贈により財産を取得した人が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産の額は相続財産に加算されます。しかし相続等で財産を貰わない人への贈与は3年前贈与加算の対象外です。 嫁、孫などに有効に使いましょう。 孫では「一代飛ばし」となってさらに有効です。
刀@贈与は計画的に、つもれば大きい110万円
110万円×10年=1100万円 < 2500万円
110万円を10年続けても2500万円にはほど遠いのも事実です。しかしまるまる非課税です(3年前贈与は加算されます)。課税の繰延ではありません。
刀@婚姻20年の居住用財産の2000万円配偶者控除は3年前贈与に加算されません。この大きな節税対策を活用しましょう。
刀@相続財産の総額と税率の兼ね合いを勘案し、全体の相続税の実効税率を計算し贈与税を払ってでも贈与した方がよい場合はよくあります。贈与税率が高いといって110万円にこだわらず、計画的に贈与を行います。
刀@相続人間の調整
遺留分を考えない贈与は、後々もめることが多い。充分説明しておきましょう。
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| 相続時精算課税 |
3.平成15年より創設された新制度の概要(相続時精算課税制度)
一般の暦年課税贈与制度に代えて、相続時に精算をすることを条件に、贈与時には一定額2,500万円)までは税金を掛けません、という制度です。2,500万円を超える部分は20%の贈与税を支払い、相続が発生した時にそれまでの贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に相続税額を計算します。既に支払ったその贈与税を控除することにより精算をすることになります。
(1) 適用条件
@基本は受贈者(財産の贈与を受ける者)の選択と届出です。いちど選択すると取り消しは効きません。
A制度を適用出来る人は贈与者が65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子である推定 相続人(代襲相続人を含む)です(相法2lの9@)。人数の制限はありません。ですから、 最大次のような組み合わせ(複数)が可能になります。
・65歳以上の実父又は実母と20歳以上の実子である推定相続人
・ 65歳以上の養父又は養母と20歳以上の養子である推定相続人
・ 65歳以上の祖父母と20歳以上の代襲相続人たる孫である推定相続人
(65歳及び20歳であるかどうかは贈与する年の1月1日現在で判定)
(2) 届出書の提出
選択しようとする受贈者(子)は、最初の贈与を受ける年の翌年の確定申告時期(期限内)に住所地の税務署長に対して届出書を贈与税の申告書と一緒に提出を行うことが必要です。
(3) 選択の範囲
選択の範囲は広く、受贈者である子は、贈与者である父、母、養父、養母ごとに選択できま す。たとえば父からは相続時精算課税制度、母からは暦年課税制度という選択ができます。ただし一旦選択しますと一般の贈与税課税(基礎控除額110万円による暦年課税制度)に戻ることはできません。
(4) 贈与財産等の範囲と回数
贈与財産の種類や、金額、贈与回数についての制限はありません。
相続発生時までに何回でも、いくらでも贈与できます。
(5) 贈与税額の計算
たとえば、父から相続時精算課税制度、母から暦年課税制度を選択した場合、それぞ れ区別して税額を計算します。
新制度の選択をし、合計で2,500万円を超えた場合には、その年の贈与額がたとえ少額であっても20%の税率による贈与税が相続時まで課税されます。
(6) 相続税額の計算
相続が発生しますと制度を適用した贈与財産の価額と相続財産を合算し、通常の相続税の計算をします。そこから既に支払った「贈与税」相当額を控除し、相続税額から控除しきれない贈与税額は還付されます。
(7) 贈与財産の価額
贈与財産の価額は贈与したときの時の時価で相続財産と合算されます。
(8) 相続時精算課税制度のまとめ
・相続時精算課税制度は、文字通り相続の発生時にそれまで生前贈与を精算をします。
適用届け出書の提出時から相続時までのすべての贈与財産をもう一度持ち戻して相続税を 計算します。贈与者ベースで考える制度です。一般の贈与は受贈者ベースで課税されます。
控除枠は2500万円までありますが、これは、
@非課税ではない、課税の繰延です。
Aしかし、財産が基礎控除以下の人には非課税扱いになり生前に貰っても税金上
は 特に問題はありません。
B「2500万円」の根拠は一般的家族の基礎控除(8000万円)から判断されたと聞
いています。いずれ税法改正により基礎控除の減額があるのかもしれません。
注意すべきは一度選択すると、非課税110万円は使えないこと。また撤回も出来ません。 養子縁組を解消しても、相続放棄・限定承認しても精算課税は適用されます。さらに贈与時の時価で精算するため、どのような財産がよいのかを慎重に検討することが重要です。将来値上がりするものは対象と考えてよいのですが。
4.住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例
一定の家屋の取得または一定の増改築の資金贈与については、相続時精算課税制度の2,500万円に1,000万円が上乗せされ、3,500万円まで特別控除ができます。この特例措置は平成17年12月末までの間に贈与した場合に限ります。住宅取得等資金の贈与は金銭に限られます。この特例は65歳末満の親からの贈与も適用されます。受贈者の要件はかわりません。
(1) 既存の制度との選択比較
なお、既存の550万円までは贈与税がかからない「住宅取得資金等の贈与に係る贈与税の特例(5分5乗方式)」は同じく平成17年12月末まで経過措置として残ります。父母あるいは 祖父母からの住宅取得資金等の贈与でも、年齢制限はありません。既存制度か新制度の何れかを選択することができます。
5. 新制度の適用の判断材料(メリット・デメリット)
(1) 遺産総額が相続税の基礎控除額以下の場合
被相続人の遺産が、相続税の基礎控除額以下と見込まれる場合には、新制度を選択して も、相続時に相続税額は算出されないため、新制度を積極的に活用することができます。
ただし、親の財産が子に移転した後の親子間・兄弟間の信頼関係を維持するためにも遺留 分も含めバランスに充分留意することが肝要です。
(2) 遺産総額が相続税の基礎控除額を超える場合
被相続人の遺産が、相続税の基礎控除額を超えると見込まれる場合、精算時には2500万円も含めて再計算されるためメリットがあるかどうかは即答しかねます。慎重に検討すれば事業の承継や跡取り問題には有効な場合があります。想定される問題点として将来の価額の変動です。
このことを考慮すると新制度の対象財産は次のような要件を満たす財産となります。
a 将来に業績の上昇が見込まれる同族会社の株式
b 事業用資産等で将来の財産価値を生み出すための資産
c 所有することで収益を生み出していく資産
選択不適合財産としては
a小規模宅地等に係る減額の特例の選択を予定している宅地等
b土地、有価証券で今後時価の上昇が見込めないもの。
などが検討されます。
刀@自社の株式を後継者に譲渡
中小企業(未公開の同族会社)の経営者にとって、自社株式の株価評価が大変高額に評価されて、相続発生時の納税資金に窮してしまうという事態が予想されます。
会社の経営権を後継者に引き継ぐ対策を考えなくてはいけません。そのひとつとして、自社の株式をあらかじめ後継者に譲渡・生前贈与しておくことが考えられます。相続時精算課税制度は有効に活用できる手段でもあります。
相続時精算課税制度の選択にあたっては慎重に検討することが必要です。
刀@申告書・関係書類は必ず、ご自分で保管をしてください。
相続時には相続時精算課税制度の適用者がいた場合過去のすべての贈与を精算しなくてはいけません。そのとき贈与税の申告書がすべて残っていれば簡単に計算できますが、もし・・・。
税務署には申告事績があります。他の共同相続人の合計額は開示請求できますが、要する手続きは面倒です。しかも本人分の請求はできません。必ずご自分で保管をしておくしかありません。
刀@連帯納付義務
相続税全般にいえることですが、相続時精算課税制度では連帯納付義務に注意しましょう。何年も前の生前贈与財産を使い切ってしまっていた場合も、相続時精算課税制度では課税されます。そのとき納税資金がない場合は他の相続人が連帯納付義務を負います。
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| 相続税対策 |
◇ 相続に対する事務所・会社の考え方。
第一に円満相続
もめれば後々必ずしこりが残ったり、最悪縁を切ると言ったこともあります。
相続税対策は重要ですが、相続対策も重要と思います。
V 相続税対策
相続税対策は長期にわたって実行してこそ効果があります。
まだ先のことと考えず、この機会に考え始めましょう。
相続・相続税対策の定番と言われているものは、
1.遺言書作成
遺言書は相続・相続税対策に大変有効です。そもそも民法は相続人は平等であることを前提にしています。しかし遺言書は、誰かが有利になるという何らかのアンバランスな事項が想定される場合に作成されることが多いです。相続後その遺言書が元で争いになっては、被相続人の予定するところではありません。
生前に子供たちによく説明し理解を得られるようにしておけばもめ事も減らすことができるでしょう。
2.養子縁組
養子の数が制限されていますが、相続税対策として節税という面では、大変有効です。
劇的に税額が減少します(計算例)。しかしやはり、当初の相続人間の心情や家族環境を十分考慮しなければなりません。
3.生前贈与
一般の財産の贈与と相続時精算課税制度の長所短所を十分検討して大いに活用します。
どの程度の金額を贈与するのが一番有利なのかは財産総額や相続人の数などにより異なりますから、充分シミュレーション(試算)しましょう。
刀@夫婦間贈与の活用
結婚してから20年以上の配偶者に居住用不動産等を贈与した場合は、基礎控除110万円のほかに、配偶者控除2,000万円が認められます。
この控除は同一夫婦間で1回限りです。控除の条件は、贈与された年の翌年3月15日までに贈与された配偶者が居住し、さらに引き続いて住む見込みであること、などです。
また、現金を贈与されて居住用の不動産を買った場合、不動産の持分が贈与された場合も、適用されます。家屋の建っている土地も、適用されます。この特例は相続開始前3年以内の贈与加算は適用されませんからおおいに活用しましょう(特定贈与)。
刀@特定贈与信託の活用
「特定贈与信託」で6,000万円まで贈与税は非課税です。
4.生命保険活用・一時所得
生命保険の契約のしかたで「税」が違います。生命保険金にも、場合によっては贈与税がかかります。契約に際しては、税金の取り扱いについて十分に確認しておくことが大切です。今からでも確認し正しい契約状態にしておきましょう。主な関係は下表をごらんください。
死亡保険金と満期保険金
| 保険料負担者 |
被保険者 |
保険金受取人 |
課税関係 |
| 私 |
私(死) |
息子 |
息子に相続税 |
| 息子 |
私(死) |
妻 |
妻に贈与税 |
| 妻 |
私(死) |
妻 |
妻に所得税 |
| 私 |
私(生存) |
妻 |
妻に贈与税 |
| 私(死) |
妻 |
私 |
妻に相続税 |
5.不動産管理会社
活用方法にによっては相続・相続税対策になります。
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| おわりに |
相続はそうそう経験するものではありません。しかし、ひとたび相続が開始されると、様々な問題が発生します。財産の調査や相続評価、相続税計算。また、相続人間での遺産分割の話し合い、相続税・所得税の申告・納税資金の確保、各種の名義書換の手続きなどなど。
専門家に任せられるところは任せて(多少の費用は必要ですが)、精神的負担を軽くしましょう。専門家は、第2次相続対策にも目を配った、相続対策・相続税対策を提案してくれることでしょう。
(1) コストとリスク
行動を起こすには必ず、コストとリスクがあります。相続・相続税対策もおなじです。また行動 を起こさないリスクもあります。総合的に判断をして何をするのかを決断します。
(2) セカンドオピニオン(第2の意見)、インフォームドコンセント(説明責任)
専門家にも得意分野があります。また相続という大切なことや大きな金額を検討するに当たって、複数の税理士などの意見を聞くことも必要だと考えます。充分な説明を受け(できれば文書にて確認し)よりよい方向性を見いだしましょう。
(3) 評価の誤り、申告漏れの財産があったなど、当初の申告額の誤りに気づいたとき
・申告額が少なかったとき修正申告をします。
・申告額が多かったときは、申告期限後1年以内ならば更正の請求をします。
5年以内ならば、嘆願書を提出します。それぞれ要件がありますが税務署側の判断次第で、還付されます。
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